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暴力団が出入りする建物で自殺者が出たような部屋を賃貸するときには、重要事項説明書などでその説明をする義務がありますか。
◆…結論
説明をする義務があると思われます。このような説明をすれば借りる人などいなくなってしまうではないか、と思われますが、そうであるからこそ説明をすべきことになります。これは、このような事情が、次のように法律上の問題を含んでいるからです。
◆… 「隠れたる暇庇」
民法は売買の目的物に「隠れたる暇抗」が存在するときは、暇庇がないと信頼した買主が被った損害の賠償を求めることができ、契約の目的を達成できない場合は契約を解除できるものと定め、この規定は賃貸借にも準用されています。
問題は、本問のような事情が「暇庇」に該当するかです。「璃抗」とは契約の目的物が通常保有する性質を欠いていること(欠陥)をいいますが、この欠陥には設備が破損している等の物理的欠陥のみならず、建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に起因する心理的欠陥等も含まれるとされています。
居住用マンションの売買において、約6年前にその部屋で自殺があったという事例で、裁判所はその事由を法律上の暇抗と認定し、契約の目的を達成できない場合にあたるとして、契約解除を認め、売主に対し手付金返金・損害賠償を命じました(横浜地裁平成元年9月7日判タ729号174頁)。
また、土地売買の事例で5メートルの道路を挟んだ向かい側に暴力団事務所が存在したという場合に、解除までは認められないものの、代金の9%の減額を認めた裁判例があります(東京地裁平成11年6月16日新聞報道)。
暇庇の事例ではないですが、後述する前賃借人がオウム真理教でそのアジトであった事例も参考になります。
事例のように同ーの建物内に暴力団事務所等があることは、通常平穏な生活を送ることを困難にする事情と思われますし、自殺者が出た場合は約6年前でも解除可能な破抗とされていますので、これを説明せずに賃借人が知らなかったときには「隠れたる暇庇」に該当し、トラブルが生ずる危険性が高いと思われます。
◆…説明義務違反による損害賠償
契約上の債務者が負担する義務は、給付義務(賃貸人であれば貸して使わせる義務)に尽きるものではなく、そのほかに付随的義務あるいは保護
義務があり、これに違反した場合には賠償責任が生じます。
賃貸借の目的物件について本問のような事情があるときは、契約締結の意思決定に重要な事情であると思われますから、それを説明する信義則上の義務があると思われ、説明を欠くと賃借人が被った損害の賠償を求められる危険があります。
賃貸借の事例において、前賃借人がオウム真理教関係者であり、その物件は報道関係者からオウムのアジトと目されていたという場合に、それを知って告げずに賃貸した賃貸人にその義務違反の賠償を命じた裁判例があります(東京地裁平成8年12月19日判時1616号75頁)。このように、前賃借人の属性についても説明義務を要するということになると、前賃借人が「いかがわしい」人物であったことなども説明する必要がでできそうです。
実例として、暴力団事務所として使用されていたことを知らずに入居していたところ、夜間にピストルの銃弾が撃ち込まれるという物騒な事件も起きています。
◆…その他の問題
その他、契約の締結が詐欺によるものとして契約を取り消されてしまったり、賃借人に賃貸目的物についての錯誤があるとして契約の無効を主張される等の場合も考えられます。
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